喜楽5-1表参道に戻ってから、甘い饅頭の店の中のベンチにぐったりと腰を下ろした。さっき八奈見が狐の像に名前をつけるのを止めたり、鯉に餌をやろうとする八奈見を見張ったり、本当に疲れる。「温水、いくらなんでも私が鯉のえさを食べるわけないでしょ?」八奈見は『宝珠甜饅頭』と書かれた紙包みを私に渡し、私の隣にどっかり座った。この人、また勝手に私の分まで買ったのか……。それなら、なんでスマホで『鯉のえさ』『食べても大丈夫』なんて調べてたの。「だって鯉はえさを食べるとき、いつもおいしそうに食べてるじゃない。どんな味なのか、温水も気になるでしょ?」私はまったく気になどなっていない。同意を求めないでほしい。「ところで八奈見さん、まだ食べるの?お参りの前にもう十分食べてたでしょ?」「さっきのは食べ歩きでしょ。今は座って食べてるから、別計算。」八奈見は甘饅頭の包み紙を開け、大きく口を開けてかぶりついた。八奈見の食欲からすれば、甘饅頭一個など誤差の範囲なのだろう。さっきの、本気を出した『食べ歩き』には、海外の観光客までもが拍手喝采していた。
出典:Anitabi問題を報告