5-1俺は逃げるように足を速め、小道の終点にたどり着いた。 ──霊狐塚。数が千を超える狐の石像が、奥に鎮座する祠を取り囲んでいる。石像は願いをかなえた人々が奉納したものだという。 その光景に圧倒されていると、八奈見が口を半開きにしたまま、俺の隣に来た。 「うわあ、すごい数!手分けして数えようよ。温水は左から始めて。」 「えっ?数えきれないだろ。」 「あ!あの狐、温水に似てない?ほら、あっちから数えて二十五番目の狐。」 「そう言われても、数えないからな。」 まったく、そんなふうに誘惑できると思ったら大間違いだ。だいたい、狐の像がずらりと並んでいるのだから、どれを起点に数えればいいかなんてわかるはずがない。 とはいえ、俺に一番似ているのはあの狐なのか?隣のやつも、整った顔立ちでかっこいい。 俺は八奈見に小声で尋ねた。 「……そういえば、二十五番目って、どこから数え始めるんだ?」
出典:Anitabi問題を報告