5-1私が先に豊川駅を出ると、冷たい風に体が震えた。東三河地方の冬は、いつも乾いた強い西風が吹いている。 「……マフラーでもしてくればよかった。」 思わず口からこぼれた。クリスマスに、天愛星さんがくれたマフラーだ。 身につけていない理由は特にないが── 「寒っ!温水、なんで先に出ちゃうのよ。」 八奈見がコートの前を寄せながら、駅のコンコースから階段を降りてきた。隣に立つと、肘で私を軽くつついた。 「あなた、改札前の地図を見てたでしょ。邪魔しちゃ悪いと思って。」 「このあと一緒に行くんだから、普通は一緒に見るだろ?寒くないのか?」 八奈見は私の背中を何度も叩いた。 まったく、一人で来ればよかった……
出典:Anitabi問題を報告